6月3日(金)
ミュンヘン在住の友人に「ウィーンまで演奏会を聴きにいく」といったら、「ミュンヘンにはウィーン・フィルよりいいオーケストラがあるじゃないか」といわれたことがある。友人の言い分は、あながち嘘ではないし、単なるお国自慢でもない。ミュンヘンのオーケストラ、なかでも、バイエルン放送交響楽団は、ベルリン・フィルに匹敵する機能性をもつうえに、ウィーン・フィルにも似た優雅さも、兼ねそなえている。しかも、「のらない」と平気でダレるウィーン・フィルとちがって、バイエルン放送交響楽団はいつもきっちり演奏する。このあたり、オーストリアとドイツの国民性のちがいなんだろうか。 今日は、20時05分から、バイエルン放送交響楽団の定期演奏会。 曲目は、 R. Wagner・・・・・ Ouvertuere zu >Tannhaeuser< R. Schumann・・・・・ Klavierkonzert A. Paert・・・・・ >Berliner Messe< F. Liszt・・・・・ >Les Preludes< で、指揮は M. Jansons、ピアノは R. Lupu。 いちばん期待していたのは、シューマンの協奏曲。だが、残念ながら、この演奏はいまひとつ。原因は、おそらく、ルプーにある。妙に甘ったるい弾き方をするのだ。ロマン派の音楽とはいえ、必要以上にロマティックな印象。そのうえ、どことなく「禅めいた」境地を演出しようとする。テンポも、ものすごく遅いかと思えば、驚くほど速かったり。必然性のない揺れ。第2楽章の一部をのぞいて、オケとも、かみ合っていなかった気がする。本人もなんとかしようとしたのだろう。だが、その焦りが、二度のミスタッチを生んだ。オケのほうもあわてたようで、第3楽章で某木管が音をはずしかけたりと、なんともしっくりこない出来だった。 ぺルトのミサ曲は、音が生まれてくる、まさにその瞬間に光をあてたような曲。この作曲家は、「音が生成してくること」を、ひとつの奇跡として捉えようとしたのではないか。同時に、音が聴こえてくるには、なにが必要か、音楽の成立要件(時間・空間)を探究しているようにも思えた。そのうえで、さらに、響きそのものを味わおうという感じ。弦の剃刀のような響き、そしてバイエルン放送合唱団の澄み切った歌声のお蔭で、静謐さと響きの純粋さが堪能できた。
by kalos1974
| 2005-06-03 23:30
| 演奏会
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