人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「天国的な長さ」

5月6日(金)

20時からガスタイクで、フランツ・ヴェルザー=メスト指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏会。メインは、シューベルトの《交響曲第8番》。
「天国的な長さ」_e0021850_0191584.jpg
冒頭のホルンからうっとり。郷愁のこもった、どこか夢見心地な響き。弦も、ほんとうに深みのあるやわらかな音色。先日の凄みのある響きはなりをひそめ、今日は、はかなさを表現するかのように、繊細な音を出していた。上質の絹の輝きって、あんな感じかなあ・・・。管も相変わらず巧い。2楽章のオーボエの見事だったこと。金管は、落日をおもわせる雄渾な音色で、まったく危なげがない。

日本では、ドイツのオーケストラというと、ベルリン・フィルが有名だ。でも、私は、実は、あまり好きではない。いまひとつ個性に欠けて、つまらないことが多いのだ。超絶的に巧いけどね・・・(ツボにはまると途轍もない名演になるのはたしか)。わがバイエルン放送交響楽団は、知名度では、ベルリン・フィルに劣るだろうが、演奏の満足度では、決して負けていない(はず)。

指揮のヴェルザー=メストは、まだ若い人なので、日本ではあまり知られていないかもしれない(私は、テンシュテットの代役でロンドン・フィルを振ったとき、はじめて聴きました。そのときは、こんな立派になるとおもってなかった)。着実にキャリアをつんでいる実力者です。今日は、小気味よく歯切れのよい《グレート》なのに、耽溺すべきところでは、オケをじっくりと歌わせていた。音量のコントロールも完璧。しかも、まったく不自然さを感じさせない。おかげで、シューマンがクララに「こんな交響曲が書けたらほんとうに幸せ」といった意味が、すこし分かった気がしました。
by kalos1974 | 2005-05-06 00:16 | 演奏会
<< 違和感 おいおい・・・ >>