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なんでもできるのね

はじめてバイエルン放送交響楽団 Das Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks を聴いたのは、たしか、東京文化会館。曲目は覚えていないけど、指揮はコリン・デヴィス。それ以来、ずっと、この楽団のファンです。

ミュンヘンの抜けるような空をおもわせる爽やかな音色。上品で軽やかな演奏。ミュンヘン・フィルのエネルギッシュな響きに対して、ロココ調の典雅な響き。この楽団で聴くモーツァルトなんて、ほんと、極上の白ワインみたいですよ。

今日(4月21日、会場はヘラクレスザール)の曲目は、《未完成》と《英雄》。指揮はヤンソンス。はっきりいって、期待してませんでした。
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それなのに、やっちゃうんだなあ。このオケは。

シューベルトでは、哀愁や寂寥感、はっきりいうと、死の不安のようなものが、的確に表現されていた。おそろしく深い響き。深遠をのぞき見たようで、身震いした。そして、さみしさのなかで、憧れを歌う木管。安らぎにみちた世界が顕現する。

ベートーヴェンでは、いかにもドイツの楽団らしい重厚な響きが前面に。低弦がよく鳴り、ティンパニが荒れ狂う。いつもの優雅な姿はどこへやら。力のみなぎった音楽が組み立てられていく。かとおもうと、第2楽章では、デリケートな演奏で、哀切と祈りの意味が示される。

各パートが自信にあふれていた。ホルンもまったく危なげない。フルートは、くすんだ渋い音から、若葉のうえの朝露のような音まで、自由自在。いや、まいりました。みんな巧すぎるよ。

ヤンソンスも小細工をしないで、正々堂々と大作曲家に立ち向かっていた。見直しました。
by kalos1974 | 2005-04-21 00:25 | 演奏会
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