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「ミュンヘンは輝いていた」

6月22日(水)

今日も暑かった。大学のかえりに、「Suzuki」か「美門」で、日本の食材を補充するようたのまれていたのに、この暑さで、ぼんやり。まっすぐうちにもどってしまった。仕方ない。妻がかえってくるまえに、もう一度外出。「Suzuki」へ。アンパンとクリームパンを売っていたので、なんとなく購入。けっこうおいしかった。すくなくとも、井の頭線某駅前のパン屋で売っているものより上質。

ついでに、アラベラパーク Arabellapark の "Reformhaus" (自然食品をあつかっているお店)に寄って、豆腐を買った。私が好きなのは、マクス・ヴェーバー広場 Max-Weber-platz にある"Svadesha" という Tofurei (豆腐屋)のつくっているもの。"Reformhaus" で手に入る。

はじめて食べたとき驚いた。だって、日本の豆腐よりおいしいんだもの。といっても、京都の「森嘉」のように洗練されたものではない。鳥取の三徳山や、沖縄で食べた豆腐に近い。硬いです。大豆がぎっしりつまっている感じ。少々野暮ったいけど、日本のスーパーで売っている、なんの味もしない豆腐とは全然ちがう。
ドイツで、日本の昔ながらの製法でつくられた豆腐に出会うというのは、うれしいようで、やはり、どことなくさみしいかも。


ある方から、「あなたのブログのタイトルはどういう意味ですか?」という質問をうけた。ラテン語で Gladius は「剣」、Dei は「神の」(属格)という意味。「神の剣」。トーマス・マンの短編の題名からとりました。

だって、こういう書き出しなんですよ。

"Muenchen leuchtete. Ueber den festlichen Plaetzen und weissen Saeulentempeln, den antikisierenden Monumenten und Barockkirchen, den springenden Brunnen, Palaesten und Gartenanlagen der Residenz spannte sich strahlend ein Himmel von blauer Seide, und ihre breiten und lichten, umgruenten und wohlberechneten Pespektiven lagen in dem Sonnendunst eines ersten, schoenen Junitages."(Th. Mann; Der Wille zum Glueck. Erzaehlungen 1893-1903, Fischer, 1991. S. 192)

訳すと、
「ミュンヘンは輝いていた。以下省略。・・・。」

すみません。む、難しい。訳すとなると、厄介。独文専攻じゃなくて、ほんとうによかった・・・。

たとえば、"festlich" を「晴れやかな」とすればいいのか、「お祭り騒ぎの」とすればいいのか、「荘重な」とすればいいのか簡単に決められないし、"Saeulentempel" だって、おそらく、ギリシア神殿風の、柱の多い会堂のことなんだろうけれども、適当な単語が思い浮かびません・・・。

かなり乱暴に訳してみると、
「晴れやかな広場や、ギリシア神殿風の白い建物、古代を思わせるモニュメントやバロックの教会堂、ほとばしる噴水、レジデンツの宮殿や庭園のうえには、青い絹のような空が、輝きながらひろがっていた。そして、広々とした、明るい、緑でかこまれた、見事に整った遠景は、美しい6月はじめの昼靄のなかにあった」みたいな感じです(どうか、独文専攻の方が見ていませんように)。

この短編、このあとの箇所でも、ミュンヘンの情景が、とても巧く描かれているんです。知っている固有名詞がたくさん出てくるし、195ページには、シェリング通り(大学の脇の通り)まで登場する。というわけで、ミュンヘンで書く日記のタイトルにぴったりかなと思いました。私、けっこう、安直なんです。
by kalos1974 | 2005-06-22 03:51 | 日記
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