9月19日(月・祝)
これは帰国直前にシェリング通り Schellingstraße の CD 屋さんで買ったもの。新品なのに、たしか3ユーロほど(約400円)だった。 ブロムシュテットがシュターツカペレ・ドレスデンを指揮した《第九》には、たしか2種類ある。ひとつは全集に入っているもの。中庸を得た演奏で、この楽団の深く輝かしい響きを味わえる。もうひとつは、1985年の、ゼンパーオーパー再建記念演奏会の模様を収録したもの。この演奏は、以前のぞいていた、インターネットの某コミュニティーで絶賛されていたが、「ずっとまえに廃盤になったので入手困難」とも書かれていた。 ミュンヘンを去る数日まえ、大学の某氏に挨拶したかえり、なんどかのぞいた CD 屋さんに入ると、《第九》の CD が平積みにしてあった。いかにも安っぽいデザイン。何気なく裏返すと、 E. Wiens, Soprano U. Walther, Alt R. Goldberg, Tenor K.-H. Stryczek, Bass-Barion Staatskapelle Dresden Herbert Blomstedt 2003 Delta Music GmbH, 50226 Frechen(ちなみに、Frechen というのは、ケルン近郊の町) と書いてある。 おや、ブロムシュテットの《第九》じゃないか。独唱陣は聞いたことないな。まてよ、たしか、全集版では、ペーター・シュライヤーとテオ・アダムが歌っていた。ということは、これこそ、うわさのライヴ盤ではないか? どきどきどき。さっそく、店員に訊いてみたけど、返事は、「さあ Keine Ahnung」。ジャケットにも、上記以外の情報はない。見逃すのも腹立たしいし、「まあ、3ユーロだから」とおもって買ってみた。コンピューターで聴いたところ、最後に拍手も入っているし、おそらく、さがしていた CD だろう。日本にかえってから、きちんとした再生装置で聴こうと、たのしみにしていた。 演奏は、常套句で恐縮だが、音が燃えている。第1楽章冒頭からひきこまれ、異常な緊張感に身じろぎもできず、聴きとおしてしまった。とにかく、演奏者の気迫が、そのまま音になっている。 ゼンパーオーパーの再建記念演奏会という歴史的な場だから、このような演奏が生れたのだろうか。以前紹介したように(旅行記参照)、ドレスデンは、戦争末期、連合軍の爆撃によって、ことごとく破壊されてしまった。劇場再建は、ようやく訪れた復興のシンボルだったろう。この演奏には、東ドイツ市民の思いが反映されているのではないか。そんなことを考えてしまった。 弦の厚み、金管の咆哮、ティンパニの迫力、・・・、圧倒的な迫力で、音楽がすすんでいく。とはいえ、ただ「熱い」だけではない。第3楽章の繊細でやわらかな響きや、第4楽章のバランス感覚を失わないテンポも、特筆されるべきだろう。 うわずったところもあるし、独唱者に難がないではない。しかし、これほど息のぬけない演奏はめずらしい。日本国内で手に入るかどうか知らないが、もし見かけたら、買って損はないとおもう(もし気に入らなくても責任はもちません。たぶん廉価版だし、勘弁してください)。
by kalos1974
| 2005-09-20 10:00
| CD・DVD
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