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伝統の力

2005年6月26日(日)

今年の1月に《ドン・ジョヴァンニ》を聴いて以来、半年ぶりのウィーン国立歌劇場。地元にバイエルン国立歌劇場という素晴らしいオペラがあるのに、ときおり、ウィーンを訪れたくなるのは、どうしてだろう?

今日は、17時から、《パルジファル》。実は、この作品を聴くのははじめて。「舞台神聖祝祭劇」なんて、畏れ多くて、とても手が出せなかった。それに、ヴァーグナーの歌劇や楽劇は長い(笑。

当夜の配役はつぎのとおり。
Amfortas ・・・・・ F. Struckmann
Titurel ・・・・・ A. Anger
Grunemanz ・・・・・ F.-J. Selig
Parsifal ・・・・・ P. Domingo
Klingsor ・・・・・ W. Bankl
Kundry ・・・・・ W. Meier
で、指揮は Ch. Thielemann 。

ミュンヘンでオペラをふっているメータがウィーンでは演奏会を指揮し、ミュンヘンで演奏会を指揮しているティーレマンがウィーンではオペラをふる。なんだか変な感じ。

とにかくはじめて聴く作品なので、感想を記しにくいなあ。
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背景の大きなスクリーンに、舞台の情景や、戦争の映像を映し出す演出は、この間 TV で観た《ドン・カルロス》でもやっていた。同じ演出家なのだろうか。

記憶に残っているのは、第1幕のおわり、嘆く少年(パルジファル)に水をあげるクンドリーのシーン。慈愛に充ちた場面。譬えようもなく崇高で、ヴァーグナーがこの作品にたくした意味をいろいろ考えさせられた。キリスト教の教えや、聖杯、聖槍についてよく知らないのが残念。

クンドリーとパルジファルの歌唱は圧倒的。マイアーは、たぶん、はまり役ではないか。妖艶で、ややキツイ声。ヴァーグナー作品に出てくる官能的な役柄にぴったり(どこかで見た名前だと思って、家にかえってからしらべたら、この間、バイエルン国立歌劇場の《タンホイザー》で、ヴェーヌスを歌った人だった。というか、ヴァーグナー歌手として有名な人なんだね)。ドミンゴもさすが。浮いちゃうんじゃないか、と思っていたけど、杞憂だった。無垢な少年と、自らの使命をさとったパルジファルを、しっかり歌い分けていた。いたずらに美声や声量に頼ることなく、場面場面に応じて、パルジファルの内面を表現していたと思う。
他の歌手も、ほんとうによく通る声だし、ちょっとした囁きさえも、しっかり聞きとれるというのがすごい。

ティーレマンは熱をおびた指揮。演奏終了後、ブーイングもすくなくなかったけれど、オケをうねるように歌わせる手腕や、総休止の迫力は、大したもの。おそらく、ティーレマンは、オペラ指揮者なんじゃないかな。ミュンヘン・フィルで聴かれる音楽づくりも、いまにして思えば、いかにもオペラ的だった気がする。
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第3幕がはじまるまえに、となりにすわっていたおばさんと目が合ったので、挨拶したら、レーゲンスブルクからきた人だった。ミュンヘンのオペラにも、月に2回は通っているそうだ。そのおばさんが、「ウィーンとバイエルンのレヴェルはほぼ同じでしょう。ただ、ウィーンには特別ななにかがあるんですよ」といっていた。私もそう思う。おそらく、「音楽の都」のオーラのようなもの。これだけは、ほかのどこにもない。いってみれば、「ブランド」みたいなものなのだが、人は、ときとして、このブランドに惹きつけられてしまうらしい。
by kalos1974 | 2005-06-26 21:04 | オペラ
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