10月15日(土)
ソフィーさんのブログで、「ブラームスって、エロくないですか?」と訊かれて、ひさしぶりに、この曲を聴いてみた。コメントを書いていたとき、頭のなかで鳴っていたのは、弦楽六重奏曲第2番の第2楽章で、自分の印象を確認しようとしたのだけれど、なぜかこの作品に手がのびた。 聴いたのは、アマデウス弦楽四重奏団と、エミール・ギレリスの演奏。昨年だったか、ミュンヘンの「ルートヴィヒ・ベック」で買ったもの。それまでこの CD の存在を知らなかったが、解説には、"Eine kulturpolitische Sensation"とあり、ソ連邦の藝術家と西側のレコード会社との交流が強調されているから、有名な盤なのかもしれない。ちなみに、私が愛聴していたのは、ペライアがピアノを弾いている演奏だった。 大学受験をはさんだ3年間くらい、よく、ブラームスを聴いていた。最初は交響曲、つぎに協奏曲、そして、室内楽曲。私は、モーツァルトの作品をこよなく愛しているけれど、もし、「いちばん好きな作曲家は?」と尋ねられたら、いまでも、「ブラームス!」と答える気がする。作品からうける、近代的な孤独、ほとばしる情熱、おだやかな愛情、自然への憧憬といったイメージが、たまらなく好き。 《ピアノ四重奏曲第1番》は、1861年の11月に初演された。しかし、最初に構想されたのは、1855年。「慎重居士」(Gustav さん)の面目躍如たる念の入れよう。 1855年といえば、シューマンの亡くなる1年前。クララへの同情と献身が、しだいに、愛情に変わっていったころだ。ブラームスは20代前半。この曲には、若き作曲家の切ない思慕と、一種の諦観が感じられる。感情の燃えあがりと集中力に魅了される。後年、ブラームスは、《ピアノ四重奏曲第3番》について、「青い燕尾服と黄色いチョッキを着た男の、最終章の挿絵」と述べているが、ブラームスを『ウェルテル』になぞらえるなら、この作品は「最初の章の挿絵」にふさわしい。 全4楽章のなかでは、最終楽章がいちばん好き。当時はやっていた「ジプシー」風の旋律をたくみにとりいれた情熱的な音楽。さまざまな曲想が交感していく景色は、ややエロティックかもしれない。 そういえば、この音楽、以前コメント欄にも書いたけど、たしか、 Leconte の"Monsieur Hire(仕立て屋の恋?)"という映画で効果的につかわれていた。 Michel Blanc 演じる仕立て屋が、アパートの窓から、思いをよせる女性の部屋をのぞくとき、この曲がかかっていた。たしかに、あこがれの女性を盗み見るような風情もある。だからというわけではないが、大学生のころ、第1校舎まえのベンチで、この作品を聴きながら、いきかう女子学生たちをながめていたことがある。 コメント(3) トラックバック(0)
by kalos1974
| 2005-10-16 16:21
| CD・DVD
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