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はじめてチャイコフスキーのオペラを聴いた

7月12日(火)

19時から、《スペードの女王 Pique Dame 》。

主な配役は、
Hermann ・・・・・ V. Kuzmenko
Graf Tomskij ・・・・・ S. Leiferkus
Fuerst Jelezkij ・・・・・ M. Gantner
Lisa ・・・・・ A. Pieczonka
Polina ・・・・・ A. Kiknadze
Graefin ・・・・・ J. Barstow
指揮: J. Maerkl
演出: D. Alden

私にとっては、第二幕の劇中劇が秀逸。ふざけた仮面舞踏会なのだが、抒情的な旋律が、どこか、はかなさを表現しているかのよう。これから破滅をむかえるであろう主人公たちをつつむ典雅なひととき。優美な音楽が、登場人物の立場や思惑を際立たせる。エレツキー(と読むのかな?)の歌う上品なアリアに、リサは応えず、二重唱にならない。ふたりの隔たり(字幕でも、エレツキーは、リサを、終始敬称“Sie“で呼んでいた)を物語っていたのだろうか?

第三幕、一気に破滅へとすすむ暗い音楽が、すこしだけ、《ドン・ジョヴァンニ》を連想させた。そういえば、第二幕だったか、台詞に「モーツァルト」という言葉があったなあ。

オーケストラが超絶的な技巧を聴かせ、えもいわれぬ、切ない音色を奏でる。オペラの公演で、オーケストラの響きに酔わせられるのは、ほかには、ウィーンとドレスデンくらいだろうか。ミュンヘンにいる幸せに感謝する瞬間。歌手も、暗くよどんだ声から、甘く輝きのある声まで、エネルギッシュに響かせた Kuzmenko 、「安定した生活ではなく、常軌を逸した思いに惹かれてしまう女性って、たしかにこういう声だろうなあ」とおもわせてくれたPieczonka 、ともにすばらしい出来。合唱も、いつもながら、透明な、それでいて、迫力のある歌を聴かせてくれた。

演出も、舞台を仕切っている半円形の壁が場面に応じて移動するので、転換がすばやく、観る者を退屈させない。影が歌い、苦悩しているように見せる照明も印象的。
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とてもレヴェルのたかい公演だったのに、空席の目立ったのが残念。といっても、舞台の見にくい、端っこやうしろの席だけなのだが、ドイツやイタリアのオペラのときは、ものすごい数の立見が出るので、それとくらべると、やはり、さみしい、というか、勿体ない。
by kalos1974 | 2005-07-13 08:17 | オペラ
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