11月11日(金)
音楽にくわしい人からある CD を薦められて、店頭では手に入りにくいそうなので、 HMV のホームページで検索して、注文したところ。 HMV のホームページは、まえに一度訪れたことがある。そのとき、いろんな人の書いている CD 評を見て、好き勝手な意見が多いので、「ここはあまりのぞきたくないな」とおもった。今日あらためて読んでみて、やはり、つかれた。 まず違和感を感じるのは、「これ以上の演奏はない」、「これさえあればほかの CD は要らない」といった書き込み。ほんとうに、そんなことがいえるのだろうか? 素朴な疑問だが、「これが最高の演奏だ」といいきれる人は、何回コンサートに通い、何種類の CD を聴いたのだろう? たとえば、ふじさんが最新の記事でとりあげている K. 551 の交響曲、私の手許には、いま、14種類の CD がある。 べーム/ベルリン・フィル べーム/ウィーン・フィル クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団 シューリヒト/ウィーン・フィル アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団 ワルター/コロンビア交響楽団 セル/クリーヴランド管弦楽団 ヨッフム/ウィーン・フィル ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデン クーベリック/バイエルン放送交響楽団(スタジオ) クーベリック/バイエルン放送交響楽団(ライヴ) ヴェーグ/カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク テンシュテット/北ドイツ放送交響楽団 スイトナー/シュターツカペレ・ベルリン(日本公演、ライヴ) このなかで、「どれが最高の演奏か?」と訊かれても困る。いちばんよくかけるのはセルだけど、「最高」かどうかはわからない。 そもそも、藝術において、「最高」ということがいえるだろうか? もちろん、いいものはいいし、わるいものはわるい。だが、ある一定のレヴェルを超えた演奏のなかで、どれが「最高」なんだろう? 一番よい演奏を決めることなんてできるのだろうか? 「最高」がいくつかあってもよいのが、藝術の世界なんじゃなかろうか? もしそうだとしたら、「これ以外は要らない」とは書けないはずだ。 演奏にケチをつけている人もいる。だが、非難する人は、なぜそういう演奏が生まれたのか、考えているのだろうか? 今日読んだかぎりでは、演奏者の意図にまで踏み込んで批判している人はいなかった。 権威をもちだしている人もいる。たとえば、「フルトヴェングラーにくらべると、精神性がたりない」といった類のもの。おいおい、「精神性」ってなんだよ? そんな曖昧なことをいわれても、フルトヴェングラーは困惑するだけだろうに・・・。 最後に。一番気になったのは、私もよくやるのであまり書きたくないけど、「よい」、「すばらしい」、「きれい」といった表現。読むほうは、当然、「どのようによくて、どれくらいすばらしくて、なぜきれいなのか」を知りたい。だが、そういうことは書かれていない。だいたい、「○○の演奏はいいです。これ一枚あればほかは要りません」という評があり、そのうえに、「これはひどい。クナッパーツブッシュがいぜんベストといわざるをえない」などと反論してある。私には、どちらの意見も信用しにくい。 クラシック音楽が好きなのはわかる。自分のもっている CD のよさを伝えたいのもわかる。けれど、やはり、すこし独りよがりなのではないか? さて、私。ここに、 CD や DVD の感想を記している。もちろん、客観的に批判しようなどとはおもっていない。印象が変わることもあるのだから、そんなことは無理。あくまでも、そのときの、私の、感じたことを書いているだけ。しかし、そうはいっても、もっと、藝術というものについて考えたうえで書かないと、演奏者にも、読んでくださる方にも、失礼ではないだろうか。他人の CD 評に悪態をつきながら、そんなことをおもった。 コメント(27) トラックバック(0)
by kalos1974
| 2005-11-11 17:09
| 毒(いいたい放題)
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