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ゆとり

7月16日(土)

しきぶさんのコメントを拝見しておもったことを書いておきたい。

ドイツ人(というか、ミュンヘンの人たち)の労働時間は短い。もちろん、8時まえから22時すぎまで働いている人もいなくはないけれど、多くのサラリーマンは、8時半か9時に仕事をはじめて、16時まえには退社するようだ。大学の事務などは、8時から12時までしか開いていない。ドイツ人は働かないといいたいのではない。仕事ぶりを見ていると、ものすごい集中力。肉食民族にはとてもかなわないとおもってしまう。

16時に退社すると、17時まえには帰宅できるから、就寝するまでの6時間が、完全に自由時間となる。庭仕事をするもよし、犬と散歩に出かけるもよし、本を読んでもいいし、絵を描いたってかまわない。いまの季節なら、22時すぎまで日が沈まない。いろいろできる。
コンサートは20時、オペラはだいたい19時にはじまる。なにか軽くつまんで、シャワーをあびて、着替えてから、会場にいくことができる(電車、バスは2時くらいまで動いている)。

ドイツ人の年収は日本人にくらべて低いらしい。月収の5ヵ月分のボーナスなんて出ない。でも、数週間の休みをとって(そう、長期間の休暇をとらなければならないのだ)、ギリシアやイタリアにヴァカンスに出かけるくらいの余裕はあるらしい。充分暮らしていけるだけの額はもらえているのだろう。
失業率の高さが問題になっているが、算出条件がきびしいせいもあると聞く。日本の失業率を、ドイツと同じ条件で計算すると、10%を越えるとか。景況感は、日独であまり変わらない。

わが母国のサラリーマン、9時から働きはじめて、17時に退社できる人なんて、ほとんどいないのではないか? うちにかえるのが、22時なんてこともめずらしくないだろう。お風呂に入って、寝るためだけの帰宅・・・。

月収の4ヵ月分とか5ヵ月分のボーナスが、たとえ1ヵ月分に減ったとしても、16時に退社できるほうがいいと思うのは、私だけだろうか・・・。きっと、子どももいないし、住宅ローンやその他の出費に悩まなくてよい境遇だから、こんなことをいえるのだろう。でも、外から日本を見ていると、あまりにも余裕がない。帰国してから、かなり大きな逆カルチャーショックを受けるような気がして、いまから心配している。
# by kalos1974 | 2005-07-17 05:29 | 日記

夏学期がおわった

7月15日(金)

今日で、夏学期が終了。19時から、中庭で打ち上げパーティー。いろんな先生と、言葉をかわすことができた。それぞれの分野の世界的権威と、気軽に話ができるというのも、留学の醍醐味だろう。お開き直前に、いそいで、写真を一枚。あわてていたし、21時をすぎて、暗くなりかけていたから、すこしピンボケ。
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2次会は、大学ちかくの某クナイペ。いろんな学生とたのしくおしゃべり。イタリアからの留学生(というのか、ドイツに8年くらいいる)ベネデッタとは専門がちかいのだが、なかなか打ち解けて話す機会がなかった。今日はお互いの論文のあらすじまで、くわしく語り合うことができて満足。前学期に A 先生の演習で一緒だった、アレクサンドラやヘルマンとも、ひさしぶりに、冗談をいいあえた。

3次会は、某カフェへ。かなり酩酊していたので、りんごジュースを飲みながら、クリスティアンの話を聞いていたが、0時半ちかくになると、さすがに眠いので、タクシーで帰宅。チップ込みで13ユーロ(約1,500円)。すこし反省。
# by kalos1974 | 2005-07-16 09:11 | 日記

おわりよければすべてよし

7月14日(木)

20時05分から、ヘラクレスザールで、バイエルン放送交響楽団の定期演奏会。今シーズン最後。

曲目は、
Tschaikowsky: >Romeo und Julia<
Brahms: Violonkonzert
Prokofjew: >Romeo und Julia<
で、 M. Rostropowitsch の指揮。ヴァイオリンは、 M. Kishima 。

前半のブラームス、ソリストには重荷だったようだ。休憩のとき、友人がきついひとことを発した。「もし Frau Kishima の体調がわるいのでなかったのなら、選曲をまちがえたか、共演するオーケストラをまちがえたかだ」。このソリスト、日本人なので、私としては、応援したいのだが、友人の言葉に、賛成せざるを得ない・・・。

まず音が貧弱。しかも、フレーズが最後まできっちり響かないから、すぐオケに埋没してしまう。つぎに、音が洗練されていない。バイエルン放送交響楽団という、このうえなく典雅な響きを奏でる楽団と共演するからには、磨きぬかれた音でないと、わるい意味で目立ってしまう。ソリストが、オーケストラの美しさを際立たせてどうするんだ。そのうえ、何度か音程をはずしかけた。最後に、ブラームスの世界を把握しきれていないのだろうか。弛緩した演奏になってしまった。

正直にいうと、感心したのは、第二楽章の木管のアンサンブルの見事さと、オケの気遣いだけ。ソリストをやさしく見守りながら演奏していた。私のような素人でさえ、こう感じたんだから、某オーケストラに所属している友人の批評はとまらない・・・。すこしは、私が日本人だということを気にかけてほしいのだが・・・。

プログラムによると、 Kishima さん、まだ19歳のようだし、たぶん、超一流の楽団と共演したことがなかったんだろうなあ。すこしかわいそう。真面目な感じはしたんだけどなあ。ミュンヘンの聴衆のなまあたたかい拍手を糧として、精進してほしい。

後半は、バイエルン放送交響楽団の巧さが存分に発揮された快演。ものすごいスピードなのに、みんな軽々と弾いている! あのスピードでふくらみのある音を出せる金管って、いったい・・・。第二ヴァイオリンやヴィオラの豊かな音色。しかも、オケ全体の響きは、決して濁らない。すごすぎる。参りました。降参です。あなたたちの来日公演には絶対いきますからね。
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演奏会終了後、友人ふたりと、歌劇場の向かいにある Spatenhaus で、ビール。この店は、まあまあおいしいものを出すけど、ちょっと高い。
# by kalos1974 | 2005-07-15 09:06 | 演奏会

はじめてチャイコフスキーのオペラを聴いた

7月12日(火)

19時から、《スペードの女王 Pique Dame 》。

主な配役は、
Hermann ・・・・・ V. Kuzmenko
Graf Tomskij ・・・・・ S. Leiferkus
Fuerst Jelezkij ・・・・・ M. Gantner
Lisa ・・・・・ A. Pieczonka
Polina ・・・・・ A. Kiknadze
Graefin ・・・・・ J. Barstow
指揮: J. Maerkl
演出: D. Alden

私にとっては、第二幕の劇中劇が秀逸。ふざけた仮面舞踏会なのだが、抒情的な旋律が、どこか、はかなさを表現しているかのよう。これから破滅をむかえるであろう主人公たちをつつむ典雅なひととき。優美な音楽が、登場人物の立場や思惑を際立たせる。エレツキー(と読むのかな?)の歌う上品なアリアに、リサは応えず、二重唱にならない。ふたりの隔たり(字幕でも、エレツキーは、リサを、終始敬称“Sie“で呼んでいた)を物語っていたのだろうか?

第三幕、一気に破滅へとすすむ暗い音楽が、すこしだけ、《ドン・ジョヴァンニ》を連想させた。そういえば、第二幕だったか、台詞に「モーツァルト」という言葉があったなあ。

オーケストラが超絶的な技巧を聴かせ、えもいわれぬ、切ない音色を奏でる。オペラの公演で、オーケストラの響きに酔わせられるのは、ほかには、ウィーンとドレスデンくらいだろうか。ミュンヘンにいる幸せに感謝する瞬間。歌手も、暗くよどんだ声から、甘く輝きのある声まで、エネルギッシュに響かせた Kuzmenko 、「安定した生活ではなく、常軌を逸した思いに惹かれてしまう女性って、たしかにこういう声だろうなあ」とおもわせてくれたPieczonka 、ともにすばらしい出来。合唱も、いつもながら、透明な、それでいて、迫力のある歌を聴かせてくれた。

演出も、舞台を仕切っている半円形の壁が場面に応じて移動するので、転換がすばやく、観る者を退屈させない。影が歌い、苦悩しているように見せる照明も印象的。
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とてもレヴェルのたかい公演だったのに、空席の目立ったのが残念。といっても、舞台の見にくい、端っこやうしろの席だけなのだが、ドイツやイタリアのオペラのときは、ものすごい数の立見が出るので、それとくらべると、やはり、さみしい、というか、勿体ない。
# by kalos1974 | 2005-07-13 08:17 | オペラ

夏学期最終週のはじまり

7月12日(火)

今週で夏学期がおわる。火曜の演習 Hauptseminar は今日が最後。フランス語とラテン語にさんざん苦しめられたが、最後となるとさみしい。「この人たちとまた会えるだろうか・・・」と思ったりして。

授業終了後、ふたりの学生(ユーディットとヨアヒム)と、ちかくのカフェで簡単な昼食。メールアドレスを交換した(涙。

いったん帰宅し、ブログをチェックすると、ふじさんが、引っ越されていた。知り合いの方たちが、どんどん某所をはなれておられのは、仕方ないこととはいえ、やはりさみしい。
# by kalos1974 | 2005-07-12 06:19 | 日記